事務所に行くと同僚の女性二人が笑っている。どうしたのだろうと思っていると一人が私に一枚の葉書を手渡す。私宛の葉書である。差出人を見て、一瞬戸惑ったが、すぐに合点がいった。裏返して読んでみた。
そこには鉛筆で「わたしのなふだをみつけてくださったありがとうございました。あいろんもかけてもらって、ありがとうございました。みつかってびっくりしました。○○○○」と一字一字丁寧に書いてあった。その横には「単おじさん、先日は有り難うございました。○○さんもすごく感激した様子でした。単おじさんのような方が極楽へ行くのだと思います。◇◇」と知り合いの教頭先生からの一筆も添えられていた。
同僚にも大受けだった。副店長は「とうとう、極楽行きの切符を手に入れられたのですね」とまで言う。
今月の10日の夕方、久し振りに連れ合いと散歩に出かけた。まだ陽が高いのでいつもと反対方向に出かけた。帰りに道で、隣町の小学校の1年生の女の子の名札を拾った。ビニールのケースに布と紙が入っている形式のもの。先日からの雨で濡れてしまっている。もう使わないかも知れないが、中に入っている青少年赤十字のバッジだけでも使えそう。そのまま持って帰った。その小学校には知り合いの先生がいるので、郵送でもしようと思いながらそのままにしていた。
幸いウィークデーに休暇がとれた。名札を拾ったままで放置していることを思い出し、陰干しをした。何もすることがないので暇つぶしに、隣町の小学校まで行ってみることにした。
職員室を覗くと顔見知りの教頭先生の懐かしい顔があった。彼に顛末を話して、名札を渡して帰ってきた。
アイロンをかけた訳でもなく暫く忘れて放置していたのに、こんな丁寧な葉書をいただいて恐縮した。とても豊かな気分になった。おまけに「極楽」へ行くお墨付きまでいただいた。いい日だった。