飲み会に友人のお連れ合い様に送ってもらっていたとき、ふとしたことから、話題がお役所仕事の件になった。
以前グリーンツーリズムに関連する県の事業に少し絡んだことがあった。大勢のメンバーなので混同していたが、結局分かったことは県の職員は最初と事業当日に顔を出しただけで、後は全て取り仕切ったのがイベント関連の民間会社の人たちだった。「県の職員って予算をつけるだけなのか」などと憎まれ口を叩いていると、友人のお連れ合い様が「〇〇さんの△△って本を読んだことがありますか。そんな話です」と知らない作家の馴染みのない作品名を言った。
それがきっかけで友人が休日のその本を届けてくれた。畑まで来てくれたのだが、お礼に持たせる野菜がなかった。二日後なら茄子がちょうど良かったのだが。
その本が「県庁おもてなし課」(有川浩)。
高知県が舞台。県庁の観光部に新しくできた「おもてなし課」を中心に物語は展開する。
「お役所仕事」「前例主義」「事なかれ主義」などを痛烈に皮肉るのが何とも痛快。自分自身がそこにドップリと陥っていることを棚に上げて、喜んでしまう。
一部を切り取ったので伝わり難いと思うが、こんな一文があった。
「非効率であることを義務づけられていると言っても過言ではない。全ての業務にマニュアルがあり、即応性を求められている事柄も手続き論で停滞する。それは手続きで縛らねば信用できないという前提を背負わされているからだ。」
私が漠然と感じていたことを文字にしてもらったと言ったら格好良過ぎるか。
加えて隣の県の話なので、具体的な場所にも心当たりがあるので妙にリアル。
そして、昔の青春小説のような恋愛も散りばめられている。これも悪くない。
かなり売れた本らしく、今頃になってコメントするのが恥ずかしいのだが。面白くて二日で読んでしまった。