去年の夏、連れ合いと二人で山陰を旅した。この年になると子どもたちは相手をしてくれなくなる。いきおい夫婦での遊びが多くなる。
初めて鳥取砂丘を訪れた。連れ合いは二度目らしいが私は初めて。夏休み中、しかも週末ということで観光客が大勢いた。
駐車場を探しながらゆっくり車を走らせていた。右手に土産物屋が並び左手に公営の有料駐車場があった。ふと見ると、横断歩道のところに数人の観光客が立っている。車が途切れるのを待っている。私は躊躇うことなくブレーキを踏んだ。
数人の観光客が横断歩道を渡り始めた。一番後ろを歩いていた若者が帽子を脱いで私たちの方に向かってペコリと頭を下げた。本当に今風の身なりの若者である。彼らの身なりからすると少し不思議な感じがして、驚きがあった。
「人は見かけやないのう」。連れ合いに話しかけた。彼女は何も言わずに笑った。派手なTシャツにサングラス。パナマ帽もどきの帽子を斜めに被っているおっさんの姿を見て、若者たちも同じことを言っているのかも知れない。
良い旅だった。