どちらかと言えば貧しい部類の家庭で育った。世間では誰かの結婚式の時にテレビが普及したと言っているが、我が家の座敷にサンヨーの四本足のテレビがおいでになったのは、東京オリンピックの直前だった。東京オリンピックを見ながら障子を張り替えた記憶のある母は、オリンピックの度に障子を張り替えると決めて、暫く実行していた。
初めてのビデオデッキ(ガチャンと音がして、デッキの上にテープが出る型)を買ったのは、結婚が契機だったが、スペイン大会のときだった。3倍速でないと早送り再生ができない時代だった。
準決勝の西ドイツvsフランス。プラティニのフランスが延長に入って2点リードしたが、ルーベッシュのヘディングでの折り返しをフィッシャーがあまり奇麗でないオーバーヘッドで決めた。
2次リーグのイタリヤvsブラジル。イタリアが先制し、黄金の中盤のブラジルが追いかける展開。後半にファルカンの見事なロングシュートが決まったときは、これでブラジルが決勝トーナメントだと思ったが、ロッシのスピードが上回った。
衛星放送で全試合の録画を試みたのがイタリア大会。この大会ではワールドカップの試合の中で私が一番見た試合がある。決勝トーナメント1回戦の西ドイツvsオランダ。早いうちにフェラーとライカールトがもめて二人が退場になった。解説者によるとスペースがあるために攻め合いの試合になった。これだけ面白いならサッカーは10対10でしたらいいのにと思ったほど。やっぱり、トップの選手を失った西ドイツと攻守の軸を失ったオランダではダメージが違ったのかも知れない。
その後もワールドカップ度に我が家の電化製品は充実してきた。
今大会はDVDレコーダーが活躍することが決定している。また、何度も繰り返してみるようないい試合が見たいものだ。