人間ドック3日目。今日のメインは胃カメラ。
「内視鏡」と書かれている部屋の前で待つ。ちょっと気が重い。「去年の8月に飲んだんやけん、胃透視にしたら良かったかな」という考えが過る。「いや、いや。どうせ見てもらうんなら、徹底的にやらんと」とそれを懸命に打ち消す。
名前を呼ばれて部屋に入る。顔見知りのドックのところにいた看護師が数人いる。不思議なもので、それだけで何だか心強く感じる。指示にしたかって、口を開けて「あ~」と言っている間に、麻酔を喉に吹きかけられる。今日も女性。マウスピースを噛まされて、今日も心の準備ができないうちに内視鏡を入れられる。
入ってすぐが少ししんどい。「ちょっと気持ち悪いですよ」。その通りだから不思議。「唾を飲み込むようにして」。「はいそうです。もう楽になりましたから」。その通り。モニターを見る余裕ができる。「きれいな胃です」と何度も言ってもらった。素人の私の目から見ても異物らしきものはない。十二指腸にも侵入。胃の上部も見る。泡や液体は吸い取り、空気を入れながら襞があるところは広げてチェック。カメラを回転させたときに、「ウッ」と涙がにじむ。
す~ッとカメラが引き抜かれる。映像は胃から食道を通って…。「問題ありません」の優しい一言とともに終了した。顔は唾と涙でぐしゃぐしゃ。でも、終わった安堵感と異常なしの嬉しさで自然と笑みがこぼれた。